戦国サイダー

低い言葉は私の耳から脳を刺激し。



私は再び、彼の唇を受け入れてしまった。



身体の力が抜けてゆく、それでも座りこむことは許されない。


閉じてしまう瞼、ぶつかる鼻。


後ろに傾く頭に対し、力を無くし下がる顎。


その隙間から侵入してくる温かい舌。


少しずつ侵食されてゆく口内。



どちらのものかわからない唾液が、つう、と顎を伝う。



イヤ、ではなく、やめて。


私の中に浮かんだそれはすぐに膨らんだ。




しばらくゆっくり時間が流れてゆき、不意に両手が自由を得る。


瞼を押し上げれば、柔らかな微笑み。



そしてようやく唇が離れ、無言のまま鬼虎の右手が私の顎を拭った。