そうですね、こんな人に気に入られるって滅多にないでしょうね。



天は二物を与えず、って本当ですよね。


見た目は神様からもらった最高のものでも、中身は悪魔からもらっているみたいですしね。



そう思いながら鬼虎を睨んでやるけど、もちろんなんの効果もなし。


こんな美形に気に入られても、ちっとも嬉しくない私の方が可笑しいのだろうか。



「さて、儂は寝る」



そんな私の葛藤も関係なしに、鬼虎は立ち上がる。


兄の黒いTシャツがこれまた似合わない。


続いて兄も立ち上がり「オレの部屋で寝ていいから、布団敷いてくる」と先に二階へと上がった。



気まずい二人っきり。


いや、正確に言えば気まずいなんてこまやかな感情、あの鬼虎にはないんでしょうけど。



もういいや、無視無視!