……だいぶ毒されてきてるな、私。



そろーっと振り返ると、兄と同じく首からタオルを下げている鬼虎が……



「先程お前の名をダイから聞いた。でかいくせに『ことり』とはな」



……あ、いかん、ちょっとばっかりぼーっとしてしまった。


いくら鬼でも見た目は本当いいんだなぁ、一瞬とはいえ見惚れた自分が悔しい。



でも鍛え上げられた身体が上半身裸で来たらどうよ?


艶のある長い黒髪は濡れていて、前髪がこめかみに張り付いたりしてて。


嫌味のない細く見えるのに締まった身体、端正な腹筋。



若干、兄のハーフパンツは似合わない、というか違和感なんだけど。


それを払拭できるぐらい、顔も身体も清麗としてる、彫刻みたいに。



ただ確かに左肩に傷はある、正直どうしてそうなったのかわからないぐらい凄惨な傷。



「虎、それ禁句。うちの妹は身長と名前の話出されると怒るから」



うん、そんなこと言われた気がしたけど、こいつ鬼ですから。


今更ねぇ……噛みついた方が余計面白がりそうだし、スルーしてみたんですけど。