「ふう……濡れちゃったなぁ」



鞄の中のタオルを取り出して、水をはらう。


Tシャツが透けるほどではないが、軽く水分を含んでいて冷たい。



「はやく止まないかな」



空を見上げて呟く。



……と気づく、人の息。



うわ、誰か他にいるのにひとりごと言っちゃってたよ。



どこだろう、と左右を確認すると、本殿の後ろ側、横になっている足が見えた。


なんとなく気になってそーっとその持ち主を確認しようと近づいてみる。



足が草履なのは、夏だしまだ納得できた。



若葉色の着物……小袖と袴も、和服が好きな人はいるだろうし、まあわからないことはない。