戦国サイダー

厚い雲の下、再びあの場所へと自転車を走らせた。


太陽は隠れているのに、気温は高く、汗が時折背中を流れる。


緩やかなアスファルトの道を進んで。


険しい山道を乗り越えて。


二人乗りの自転車で、辿り着く。



丘から見晴らせる、小さな街は。


雲の隙間から洩れた光に照らされて。


よく晴れた日よりも、きらきらと輝いて見えた。



海に差し込む光の筋が。


あれはこっちだよ、ここにあるよ、と教えてくれるみたいで。


手を伸ばしても、届かないのに。


行こうと思っても、行けないのに。


私はそれをとっても欲して、手に納めたくて。



手に入れられないはがゆさに、涙した。