雨上がりの夜、庭で花火を一緒にした。


勿論初めての虎、最初こそ戸惑いはしたものの。


慣れれば眺めてるのが好きだと、私が持つ花火が綺麗だと言ってくれた。


大きな花火はしなかったけれど、久しぶりの経験にテンションは上がる。


そのせいか、何度やっても線香花火が最後まで出来なくて。


虎が鼻で笑うので、じゃあやってみてよ、と渡したら。



失敗なんてしやしない。


集中が足らんのだ、と怒られもう一度やってみたけれど。


やはり不器用さがたたって、あと一歩で落としてしまう。



だから線香花火だけは、私が虎のする様を眺めていた。



闇夜に微かな光に照らされた顔が、綺麗で。


私はそっと、心のシャッターを押しておいた。