本当は嫌だなんて言えない、言わせない。


本当は私も一緒に生きたいだなんて、言える筈がない。



わかっていた、決めていた筈。



それでも現実は、やはり厳しい、悲しい、苦しい。





神様は、どうしてこうも残酷なのだろう。



虎が帰れるかもしれない方法、兄が予測したそれは。



虎を置いて、私ひとりが鳥居から出ること。



ついて行くなんて最初から無理で。


帰す為には、離れなきゃいけない。


私は虎と一緒にはいけない。



わかってる、その選択がいけないことぐらい。


私にだって家族がいる、こっちでの人生がある。


きっとこの先歩むはずだった人生が消えたら、何かが変わるかもしれない。



だけど、そんなひとときの夢を持つことさえ許されなかった。


迷うということも、神様は与えてくれなかった。