「だから、ひとつだけ、わがまま聞いて」



頑張って首を動かして、虎を仰ぎ見る。


たまに見せてくれる優しい顔で、ただ「ああ」と頷いた虎が、愛おしい。





「あと七日間だけ……一緒にいて……私のものでいて」





零れる涙はぬぐわない。


だってそれは虎が拾ってくれるから。



不器用で、感情の表現が下手で、いっつも不機嫌そうで偉そうで。



それでも私の涙だけは、ちゃんと見ていてくれるから。



私の言葉に、虎は黙ったまま抱き締めてくれた。


言葉なんかいらない程に、強く、強く。