戦国サイダー

「じゃあこっち来て」



そう言って虎の手を引っ張り、端まで歩く。


本当は、そこまで自転車で行けるんだけど。



開けた目の前に見えるのは、小さな咲矢町とその先に広がる海。


右側に立つ虎が、息をのんだのがわかった。



「これがね、今の伊桜」



あんまり大きくないけれど、寂れた田舎町だけれども。


それでも家は建ち、人は住み、畑も、田圃も牧場もある。





「私たちの……未来」



虎の方はもう見れない、ただ眼下に広がる明るい町を見つめて、声を絞り出す。





『必死に、考えなさい』


兄は確かにそう言った、私もそうするべきだと思う。