戦国サイダー

「ねえ、それはどうして、どうしてそんな風に思ったの?」



涙は出なかった。


ただベッドの上で、小さく震えているのが自分でもわかった。



『あの鳥船神社についての伝承やらを調べてみた。民俗学の観点からも。そうしたらあそこにはちょっと変わった伝説があって』



古びた小さな鳥船神社。


虎を拾った場所。



『鳥が運んで来てくれるらしい』



とりが?



『自分に、一番大切なものを』



一番、大切なもの――?



『例えば子宝とか、豊作とか。そういうのを祈りながらあの鳥居をくぐる。その後に鳥が、多分雀でも烏でも何でもいいんだろうけれど、鳥居をくぐったら、願いが叶うって』



なんでだろう。


民間伝承のような願掛けなのに、不思議と違和感がない。


寧ろ私はどこかでそれを聞いたような。