「ちょっと、継虎さん、あれ私の兄だから。血の繋がった兄弟ですから……離して下さい!」



抱えられたままもがいていると、鬼虎がじいっと私の目を見てくる。


こいつ……疑ってやがる。



「兄?」


「そうです! ちょっと連れてきますから待ってて下さい!」



思いっきり抗議してみたところ、ようやく鬼虎の手が私の腰から離れた。


とりあえずダッシュで廊下へと向かう。



「おにいっ……ぎゃあっ!」


「ぎゃあってお前、可愛くないなぁ」



可愛くないも何も、戸開けてそこに人が立ってたら驚くでしょうが。


しかも聞き耳立ててたし。



「人がせっかく妹のいいところを邪魔しないように立ち去ってやったのに……」


「何がいいところだ! てかちょっとこっち来て!」