だから図に乗って意味深な言い方をしてみたら、もう虎は何も言ってくれなかった。


その代わりなんとなくだと思っていた顔はやっぱり赤くなっていて。



照れてる虎を見るのは、久しぶりかもしれない。



黙ってちょっと私から視線を逸らしたまま、それでも朝ご飯は食べるらしくテーブルの向こう側へと腰を下ろしてくれる。


こういうところを見てると、あながち兄の言ったことも間違いではないのかな、と思ってしまう。


先日の一件は間違いか何かだと思いたいけれど。


いや、本当はちょっとは喜んでいいような気もするんだけどね。



冷たい日本茶を注いでから渡しても、虎は私を見はしなかった。


ただそれが、嫌われてるんじゃないのはわかってるから、少し微笑ましい。



「いただきます」



私が言っても、虎は手を合わせるだけ。


それはいつものこと。





大丈夫。



虎は、虎だから。



私は、私だ。