「こっとりー、いないのかー? 飯買ってきてやったぞー」



ん? この声?



玄関から聞こえてきた気の抜けた声、すぐに開く客間の戸……



「こと……」


「貴様、何奴だ!?」



鞘から抜いてはいないといえ、戸に、正確には戸を開けて現れた人物に向けられた刀。


さっきも鬼気迫ってましたが、なんだろ、殺気に変わってますよ。


あれかな、鞘から抜かなくたって殴り殺せるのかな……



「……失礼しました」



って、ちがーうっ!!



「こらっ、バカ兄貴っ! 戸閉めて消えるなぁっ!!」



丁寧にお辞儀をしてそそくさと消えた兄に向って叫ぶも、反応なし。