戦国サイダー

『ほら、人って寝呆けてたり酔ったりすると素直になったりするじゃん? そんな感じ?』


「ちょっ……そんな感じって、何その飛躍は」



思わず握りしめていたタオルケットを放り出し、ベッドの上に正座してしまう。



『いや、だから。寝起きの虎って普段抑圧されてる部分が素直に出るのかなって』


「ってことはお兄ちゃん、普段虎に恨まれてるってこと?」


『え!? あ、いや……そういうわけではなかったけれども』



上ずった兄の声に、何かがあったんだろうとは思ったけれど、そこは深く追求しないでおく。


優しい妹の心づかいですよ。



『とにかく、寝起きの虎って普段と全く逆で、素直なんだと思うよ? どう、思李はそう思えない?』



素直……


さっきのことを思い起こせば、そうも言えなくはない。


つまりあれはやっぱりご満悦だったってこと?



うーん、自惚れのような気もするけれど。