戦国サイダー

まったく、この兄の無駄な思考を止める薬はないのだろうか。


向こうに聞こえるようにはっきり溜め息をつく。



『はいはい、図に乗り過ぎました。ちゃんと相談に乗るから。虎の寝起きだっけ?』


「覚えてて頂けて嬉しいです」


『失礼な。で、それだけど……正直あんまり思い出したくない』


「は? なん……」



で? と聞こうとしたところで言葉を飲み込んでしまった。


言わせたら、私まできっと言う羽目になるし。


言いたくない気持ちも、なんとなくわかる。



でもお兄ちゃんが嫌がるって一体何が……



『まあ色んな意味で死にかけた、って言っておくよ。それがどうした?』


「ん……まあ、なんというか、あんまり普段の虎っぽくないと言うか……なんか行動が不思議だったからどうしてだろうって思って」



あまり細かいところは突っ込まれたくないので、曖昧に答えてみると「ああ」というあとに考え事をしているような唸り声が聞こえてきた。