戦国サイダー

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『ああー……ついに』


「ついにって何が」


『いやいやいや、おめでとう、思李』



電話の向こうの兄が、至極愉しそうに笑った。


正直電話を切ってしまいたいけれど、肝心な話が聞けてない為に切ることが出来ない。



兄はまだ起きていた。


というか昨日の夕方から寝てしまって、寧ろ目が覚めていた、といった感じ。


で、なんで私に電話したかって答えは「暇つぶし」


じゃあ構わないかと、先日喋りかけてた寝起きの虎について話題を持っていこうとしたところ……



何かものすごくにやにやした雰囲気が電話越しに伝わってくる。



『良かったねぇ、お兄ちゃんは嬉しいよ。あ、でもさすがに今帰って思李を見るのは忍びないなぁ。きっとキスマークだら……』


「お兄ちゃん、部屋のエロ本さ、夏梅ねぇに渡していい?」


『ごめんなさい』