戦国サイダー

溜め息をつきたくなるような倦怠感と、ちょっとした充足感を入り混じらせながら、私はシャワーの蛇口をひねった。


べたついていた身体に熱めのお湯が気持ちいい。


体温が一気に上昇するのは、頭のてっぺんからお湯を浴びているせいだけじゃない。



二人分の汗が流れおちることに、昨夜の記憶が唐突に蘇る。



馬鹿みたいに、恥ずかしい。



初めての経験ってわけでもないのに、この気恥ずかしさはなんだろう。


暗闇の中見た、虎の瞳の記憶に、脳が痺れる。



ようやく叶ったという喜びか。


足を踏み入れてしまったという覚悟か。



どちらなのか、それとも別の何かなのかはわからないけれど。





後悔なんて、神様に命じられてもするもんか。




そう心に改めて刻みながら、私はシャンプーを手に取り、余計なことだけを洗い流すように、髪を泡立てた。