「あのね」


『もーやきもちはわかったから。でもプレゼント貰ったでしょう? 気に入らなかった?』


「……あ」


『あ、って何、忘れてたんじゃないだろうね』



いや、忘れてはないんだけど、茶の間に広げたままだったなぁ、と。


電話の向こうから兄の溜め息が聞こえてきた。



やばい、形勢逆転されてしまう。



『何があったのかは敢、え、て、聞きませんけど。言いたいことがあるんなら、本人に言いなさい』



……時既に遅し?


「敢えて」を強調する当たりが軽くぴきっときますが。



『それにね、思李はそう俺に噛みつくけれど、俺だって無理矢理虎に仕事させたわけじゃないよ? 一応きちんと説明して、それでも、ってやってくれたんだから。この意味わかる?』


「う……」


『勝手に機嫌損ねるのは結構。たださ、意外なところに事実ってあるもんだから』