手で叩くより確実だな、頭突きの方が。



ついでに手が自由になったので、動かない虎を思いっきり突き飛ばしてさっと起き上がる。


この男があっさり突き飛ばされるとは思わなかったけど、ありがたい、今は感謝しておこう。



「……こ……とり?」



額を抑えつつ、呟く虎の顔は残念ながら髪に隠れてよく見えないけれど。



「この変態っ!! 朝虎なんか大ッキライ!」



あんな失礼な奴に何言ったって構いやしないと思いっきり叫び、私は和室を飛び出した。


今更ながら、涙が零れてくる自分が憎い。



ついでに昨夜関心した自分も。



溜め息混じりに涙を拭いて。



私は携帯片手に部屋に籠った。