「伊桜はまだ不安定だ。皆が安心して暮らせる国にしたい」 ああ、きっとこの人は揺るがない。 ただ夢を見ているわけじゃない、しっかりと現実を見て、それを実行するだけの意志があるんだ。 「それに、国の為に果てるのなら本望だ」 覚悟が、違うのだと思う。 私たちが語る夢や計画とは比べ物にならない。 「うん……ありがとう」 私なんかが引き留められるレベルじゃない。 引き留めたくはないけれど、やっぱりどこかで期待してる自分もいるのだ。 だけど、もうこれで“もうひとりの私”とはさよなら出来る。