戦国サイダー

「でもさ、今ここにいたら戦とか行かなくていいんだよ?」



だからここから先は、私の中の“もうひとりの私”が言いたいこと、聞きたいこと。



「そうだな」



背中の手が、再びゆっくり動きだした。


虎の呼吸も、鼓動も、少しも乱れない。



「いろんなものがあるし、多分虎の時代より長生きも出来るかも」


「そうだな」


「それでも……帰る?」



それまで胸に埋めていた顔を、そっと上げる。



すぐそこに、虎の瞳があって。



僅かな灯りの中でも、その瞳は綺麗な光を携えていた。