戦国サイダー

「ね、虎はさ」



涙がだいぶ甚平に染み込んでしまったけど、離れる気にはならない。


虎の手のひらが、優しく私の背中を撫でてくれる。



「なんだ」



本当は、聞きたくない、言いたくない。



でも……知りたい。





「……自分の国に、帰りたい?」



手のひらが止まる。



「ああ、そうだな」



でも答えはすぐだった。


戸惑うことのない、真っ直ぐな声で。



「そっか……安心した」



これは本音、強がりでも何でもない。





もう、決めたから。