……この何とも言えない微妙過ぎる気持ちを、私は一体どう処理したらいいのだろう。



いい方に考えたら、そこまでしてでも浴衣を買う為に頑張ってくれた、だけど。


協力者は兄だ、あの楽天家で適当男の兄だ。



なんか素直に喜べも感謝も出来なくなってきた。



……あとで文句言ってやろう。




浴衣を抱えたまま、溜め息を零してしまうと、それが虎にも伝染した。


もうこの話題には触らないようにしておこうと心に誓う。



「そういえば晩ご飯は?」



時間的にはまだ食べてないと思ったし、空気の入れ替えの為にも明るく聞いてみた。


が、虎は浮かない顔のまま首を横に振る。



「……え、それはまだ食べてないってこと?」



意味がどっちにも取れたので聞き返すと「いや、いらん」とだけ言った。


 
どんだけショックな出来事があったのだろう、と浴衣を畳み直しながら考えてみる。


やっぱり兄に文句言わなきゃ、と思い直したときかたん、と麦茶の入っていたグラスが倒れた。