またしても溜め息をつかれたけれど、すっかり頭の中から抜け落ちていた。


だって毎日それどころじゃなかったし。



「開けていい?」


「勿論」



手のひらぐらいの箱は、綺麗にラッピングされてるんだけど、その包装で既にどこのものかがわかってはいた。


茶色のリボンに、馬車のマーク。


余りにも高いものだったらどうしようかと、丁寧に包装紙を剥がすと、綺麗な色の箱が出てきた。



「……香水?」


「そうそう。思李にぴったりの香りだと思って」



中から出て来たのは縦長で薄いグリーンの色味がついたガラスのボトル。


昔雑誌で見たことがある、結構人気の香水じゃなかっただろうか。



蓋を外して、鼻を近づけると、爽やかなシトラス系の香りがした。



「気に入った?」


「ありがとう……すごいいい香り」