「はっ、はい。源とか織田とか鈴木とか……あ、あとお名前の漢字もよろしければ……」


 
そうぎろっと睨まないで下さい、すっごく怖いです。


そして何気に織田に反応しましたね、アナタ。


嫌な予感満載です。



「柚木崎(ユキザキ)だ。名は継続の継に獣の虎」



ひどくぶっきらぼうだけど、答えてくれるだけまだありがたいと思っておこう。


うん……ていうか……柚木崎……


その苗字を知っている、しかも日本史の教科書で見た記憶がある自分が悲しい。



「あ、そうそう。麦茶ですけど、良かったらどうぞ」



なんとか笑顔を作って、継虎さんの前に置いた麦茶を進める。


家に入ってすぐ出したのに、一向に手をつけないんだよね。



「……毒とか入ってませんから」



何気なしに言ってしまったひとことがまた悲しい。


だって、そのお美しい目が疑いの眼差しを私に向けているんですもの。