相変わらずの口調が懐かしくて、思わず電話越しだというのに私は思いっきり頷いてしまう。



「行きたい」


『オッケー、じゃあ迎えに行くから、一時間後ぐらいでいい?』


「うん、大丈夫、準備して待ってるね」



もう一度頷いてそう言うと『はいはーい』という返事だけ聞こえて、電話は切れた。


昔っから変わらず、やることなすこと手早い。



久しぶりに会えると思うと嬉しくなって、私はシーツそっちのけで二階へと上がった。


夏梅ねぇは私と違って、ファッションのセンスもいいし、化粧も上手だから、隣に並んで可笑しくないぐらいは私もしなければならない。


観光地の旅館で仲居をやってるから、なかなか会えないけれど、私にとっては頼れる従姉のお姉さんだ。



どうせ家にいてもまたうだうだするだけ。


なら気分転換も兼ねて、夏梅ねぇと遊びに行った方が、楽しいし健康的。



そういえば女将さんの息子さんとの関係はどうなったのだろうと、わくわくしながら、私は化粧品を取り出した。