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「継虎だ」



お座敷でテーブルを挟んで向かい合う。



「つ……ツグトラさんですね」



なんとなくボロ屋で良かったと思ってしまう、きっとこの人に洋間はとてつもなく似合わない。


腰につけた本差しは畳の上……だけど、きっとあの距離ならいつでも抜けるんだろう。


胡坐に腕組み、背筋はしゃきっと真っ直ぐ。


ある意味行儀は正しいんだろうなぁ、鬼だけど。




結局あの後、家へと入れてしまった。


もちろん携帯電話は手の中にあるし、一応戸の前に座っている。


戸の外には竹刀――念の為にと出発前、両親が買ってくれたもの、を置いてある。