戦国サイダー

「……お願いね?」



そんな私を見て、愉しそうににっこり笑う兄。



……あの腹はきっと真っ黒通り越してブラックホールだ。



きっと睨んでみるものの、そんなの構わずで兄は手をひらひらさせて茶の間に引っ込んでしまった。



完全に遊ばれてる。


確かに、兄が言っただけで返事なんか何も聞こえなかったのに、無駄なリアクションをした私も悪い。


だけどここ数日はこんなことなんか無くて、穏やかにゆっくり毎日を過ごしてただけだったのに。



あの馬鹿兄貴は何がしたいんだろう。



現状維持を望む今の私には、はっきり言ってちょっと迷惑。


それ以前に、兄は私がどう思ってるかわかってるつもりなんだろうか。


 
「はあ……なんかイヤな予感がするんですけど……」



今度は口に出して溜め息混じりに呟いてみる。


口に出したら現実になりそうだけど、黙っているのも気が重かった。