戦国サイダー

「なんでそんなにアホ面なのさ。アテは適当でいいよ」



アホ面って何さ、酷くない?


……今更始まったことじゃないけど。



「いや、というか。確かお父さんのストックはあったけど、冷えてないよ」


「じゃ、冷やして」



……始まったことじゃないけど、うちの兄も相当傍若無人な気がしてきた。



「自分でやってよ」



洗い物を終わらせ、手を拭きながら言うと、兄が途端拗ねた顔を見せた。



「思李が冷やしてくれたビールが飲みたいなー」


「何ですかそれは。それより時間かかるんだから、さっさと冷やしたらどうでしょう」


「えー、虎も可愛い思李が用意してくれた方がいいよねー?」


「なっ……」



に言ってんの! と言いそうになる口を慌てて閉じる。


 
無駄に跳ねた心臓が、顔に血液を送ってきてるのがわかった。