そしてこの人何言ってるんだろう。



この町の住人なの?


でも家がないの?



え、それってどういうこと?



「答えろ、女! 我が国は何処へ行ったのだ!!」



顎にあった指の力が抜けた。



「え……」



と同時に男の頬を一筋、線を描いたかのように真っ直ぐ涙が伝う。



それでも男の透き通った瞳は私を睨むのはやめない。



それが、まるで必死に自分を保つ術かのように。


黒目がちの瞳が、私を貫く。