戦国サイダー

でも、もう何もかもが遅い。





あの人と、やり直すことは、私の選択肢の中にはないんだ。



何度も言葉にした「ごめんなさい」と「ありがとう」


彼は照れたように笑いながら「これでオレも吹っ切れるよ」と言ってくれて。


その優しさと、申し訳なさに涙は溢れそうだったけれど。



泣いたら、私だけ楽になるから。



いっぱいいっぱいの心臓を必死に押さえて、精一杯、笑った。





「おかえり」



少しだけの間、ひとりになった家に、鬼虎が戻ってくる。


玄関からではなく、縁側に。


何も答えないものの、その雰囲気が決して悪いものじゃないことはわかった。



「お茶、淹れてくるね」



もう、薬は飲んじゃったけど。



下腹部はもう、痛くないんだけれど。