抜いた切先から、西瓜の果汁がぽたりぽたりと滴る。


粘度の低い、血液のように。


 
私はその切っ先に目が行ってしまって、二人の姿が目に入らない。


何か言葉を交わしているようにも思えたけど、耳に入ってこない。



ぽたり、ぽたり。



落ちてゆくそれは、人の血のようで。



その刀を持っているのは鬼虎なんだと、戦国時代から来た武将なんだと頭で理解していて。



そう思えば、割れた西瓜は人の頭に思えてきて。



ぽたり、ぽたり。



まるで催眠術のように。



ああ、この人は戦場で戦ってきた、人を殺してきたんだ、でもそれは時代が違うから――