「……子ども、かぁ」



アイスの箱を閉まって、冷凍庫の引き出しを押す。


カードと写真はテーブルの上に置いておく。


すっかり冷たさを失った四ツ谷サイダーの蓋を開け、一口飲んだ。



温いせいか甘味が増して、しゅわっと喉の奥ではじけてゆく。



それはまるで安定剤のように、私の心を慰めてくれる。



ふと気づけば、ペットボトルにも細い字で何か細々と書いてあった。



「虎……が、自分で……初購入したモノ……」



馬鹿だ、あの兄こそ馬鹿。



こんなこと書いて何の記念だ、勝手に飲んでしまったじゃないか。



深く溜め息をついて、ペットボトルの蓋を閉め、冷蔵庫へと戻しておいた。



しかもこのタイミングで、どうやら夕立が降り出したらしい、窓の外からサーッという音が聞こえる。