「あの……さぁ、武人」 「うん?」 背中を照らす夕日で、長く伸びたふたつの影。 その影をぼんやりと眺めている俺に、悦子が言う。 「……昨日の夜、なにしてた?」 「何だよ突然……。昨日の夜はバイト。おまえにメールしただろ?」 「あ……、そうだったね。ごめんごめん」 無理に口角を上げ、笑って見せる悦子。 「なんでそんなこと訊くんだよ」 「ううん、意味はない。ただ、何していたのかなぁって……」 ――最近の悦子は、様子がおかしい。