あたしはその光景を、ただ呆然と見ていた。 カッコイイだけじゃなくて、性格もいい。 それに、こういう状況で、あんなににこやかに事を収めてしまうなんて。 ……しかも。 この人……、あたしと同じ学校だよ。 何年生だろう? 男子は全学年、同じ色のタイだから分かんない……。 「……乗らないの?」 「へっ!? あ、あぁ……、はい、乗ります」 ボケーっと突っ立っていたあたしは、彼に促されてバスに乗り込んだ。 そして、そのままの流れで席には座らず、つり革を掴んで彼の隣に立つ。