「悦子さんは、アニキの彼女だった人です」 「彼女……だった……?」 「この学校に転入する前に別れたんですけどね」 それまで…… 武人の武勇伝を語っていた信一くんの目はキラキラしていたけれど。 今は憂いの表情しかない。 「アニキ、中学の時もそうだったけど、前の学校でも女にすっげー人気があったんです」 「ヘタレなのに?」 「だから! 前の学校では違ったんですっ!!」 ムキになる信一くんに、あたしはまた謝る。