「……う~ん、なんでだろう??」 困ったように首を傾げる武人を見て、あたしはお弁当箱のフタを閉めようとする。 「あっ、ああああっ、ちょっと待って!!」 それを見た武人は焦って、あたしからフタを取り上げた。 「たぶん、アレだ。中学のとき、ヤンキーの先輩に絡まれていたところを助けたからだ」 「……助けられた? あんたがあの子に?」 「いや、だから……。俺が信一を……」 「ヘタレのくせにっ!?」 真顔で聞き返しながら、あたしはとりあえず、お弁当の唐揚を口に入れた。