「うわっ、梓ちゃん。大丈夫? 痛かっただろ? 俺、絆創膏持ってるよ?」 顔をあげ額をさすっていると、あたしを探しに来たその男は心配そうな顔をして絆創膏を差し出した。 しかも。 差し出すだけでは終わらず、絆創膏を貼る態勢に入っているし。 「動くなよ~」 「ちょっ……、止めてよ! て言うか、絆創膏なんて大げさだしっ!」 「痕が残るからダメ」 ……絆創膏貼ったら、痕が残らないとでも? そんな素朴な疑問はいいとして。 あたしは、そいつの好意を無碍に断った。