「おいしいっ! すごいねぇ、武人。尊敬しちゃうよ」 嬉しそうにパクパクと食べる悦子を見て、幸せな気分になる。 「……どうした?」 酢豚に入っている豚肉を口に入れた悦子が、一瞬だけ微妙な顔をした。 「あっ、ううん。なんでもない」 言って、悦子は白ご飯を何度も口に運び、ごくりと飲み込んだ。 「……もしかして、豚肉、嫌いだった?」 俺が訊くと、悦子が気まずそうな顔をして答える。