さっきのあたしのドキドキ感はどこへやら。 すっかり興ざめ。 ほとほと呆れてしまって、あたしはカナブンをポイッと廊下の端っこに投げた。 「そっ……、外に捨てろってー!!!!」 「――は?」 虫ぐらいでオタオタする武人くんにイラついてしまって、あたしは刺すような冷たい目でじろりと睨みつけた。 「いや……、スミマセン。あの、外に……捨ててください」 「………」 この人……イケメンだけど……。 中身は、とんでもないヘタレじゃんっ! .