あたしの背中を擦りながら優しく言う真千子。 「梓っ!」 麗が、ポッキー片手に、空いたもう片方の手でマイクを持って、エコーを響かせてあたしに言う。 「いい経験をしたと思え! 新しい恋では素直になれっ!」 ……新しい、恋……。 武人以外の男を好きになる自分の姿が、今は思い浮かばない。 「うん……っ、うん……っ」 それでもあたしは、グスグスと泣きながら、何度も頷く。