「ねぇねぇ、あれってさぁー、江南の制服じゃないー?」 「えー? あっ、ホントだ」 放課後。 帰り支度をしていると、教室の後ろの方でそんな声が聞こえてきた。 教室の窓からよく見える、学校の正門。 門に背中をくっつけて、ぼんやりと佇んでいる女の子の姿が見えた。 ――悦子さんだ……。 思わず、教室を飛び出たあたし。 「梓ー!? どこ行くのー?」 「ちょっとー! カラオケはーっ!?」 学校帰りに一緒にカラオケに行くと約束していた麗と真千子が、大きな声であたしを呼び止める。