あたし……、いま、普通の顔しているかな。 挙動不審に見えないかな。 「武人、学校ではどうですか?」 「どうって……、フツーの高校生って感じですよー」 ……引きつることなく、ちゃんと笑えているかな。 「普通って何だよ、普通って」 突っ込む武人に対して、あたしは何も言い返せない。 ただ、喉がカラカラに渇き始めて、言葉がそれにせき止められてしまっている。 「悦子、鍵は?」 「あっ、そうそう」 鍵……?