「だって、武人と一緒に……」 言いかけた彼女が、武人の隣にいたあたしをちらりと見た。 話の続きをやめて、彼女が武人に問いかける。 「……友達?」 「あぁ。隣のクラスの子」 “隣のクラスの子” 武人は興味なさげに、澄ました顔であたしを見て言う。 ……って、普通さ、名前くらい言わない? それよりも“隣のクラスの子”だ? あんなにあたしに付きまとっていたくせに。 毎日のように手作りのお弁当を届けていたくせに。 「はじめまして。江田 梓ですっ!」