根も葉もない噂のことを悦子に話したくて、俺はすぐに彼女の家に向かった。 「……俺の噂のことだけど」 キレイに整理整頓されている悦子の部屋。 真っ先にそう切り出すと、悦子の顔が一瞬にして曇った。 あぁ、やっぱり知っていたんだ……。 「おまえ、真に受けていないよな?」 信じたかった。 “もちろん。信じるわけないでしょう?” と、笑いのける悦子を、当たり前のように想像していた。