「え?」

「戦いを仕掛けるのは構わん。だが、今回そなたがやった事は、犯罪であり、自身の身の安全をまったく考慮していない自爆テロだ。敵だけでなく、味方まで不幸にしてどうする。公になったときの事は考えなかったのか?」

 絵理の言わんとするところが良く掴めず、千沙子はきょとんとしながら絵理を見ている。

「つまりだ。自分自身の身の安全を考慮した上で、もっと狡猾にやれということだ。私に危害を加えたこと自体は、既に怒ってはおらぬ。……呆れてはいるがな」

「もっと狡猾にやれって、危害を加えた相手に言う言葉じゃないわよ。ほんとにそうしたらどうするの?」

 泣いているような、笑っているような顔で千沙子は言った。

「その時は、持てる手管を使って迎え撃つだけだ。無論、私とて容赦はせんぞ」

 そう言って、にやりと千沙子に笑ってみせた。
 まったく、一体どんな育ち方をしたら、こんな豪気な性格に育つのだろう。