「伊達や酔狂でこんな事を言う訳が無かろう。どちらにせよ、私も同行して話をつける。
 それとも、私が相手ではそなたは不服か?」

「不服じゃないけど、少し怒ってる。
 あれだけ悩んでたのが馬鹿みたいじゃないか」

「許せ。私も、本当の自分の気持ちに気付いたのはつい先ほどだ。恥ずかしい事に。
 ……陣がいなければ、ずっと気付かないままだったかも知れぬ」

 青司は、意外そうな顔でオレを見た。

「絵理の隣で、一緒に手をとって歩く役はお前に任すわ。オレはこのまま帰るから、責任もってエスコートしろよ」

 オレは二人の返事を待たずに、そのままバイクを走らせた。

 ミラーの端に、二人がオレを見送る姿が映っていた。