「というか、お前、今までクリスマスを誰かと過ごした事ないのか?」

 オレの疑問に、絵理は明快に答えた。

「我が家の宗教は神道だ。クリスマスは基督教の宗教行事だから、別段何事も無く毎年過ごしていたが?

 高校に入って、基督教の信者でなくても、クリスマスパーティーが行事として確立していることを知り、衝撃を受けた」

 今時、クリスマスを宗教行事として捉えていることに驚いた。

 日本だと、キリストの聖誕祭というよりも、恋人同士で過ごす特別な日、というイメージが定着してしまっている。

 しかし、生まれたときは神社にお参りして、結婚式は教会で行い、葬式の時は念仏を唱えるという無節操な宗教観を持つ日本人にとっては、聖夜が性夜になろうが、別段気にするほどの事でもないのだろう。