会場もインディーズバンドの演奏が夕方五時からなのをいい事に、千沙子が無理矢理大講堂での開演にねじ込んだ。

 出し物が終わった後に舞台をバンド用に仕込み直さないといけないので、担当の学園祭実行委員は嫌な顔をしていたが、千沙子に逆らうほど命知らずではなかったらしい。

 大講堂の前には、まだ開場前だというのに長蛇の列が出来上がり、大講堂の収容数に収まるかどうか、既に怪しい雲行きになっている。しかし、野次馬も含めて、これだけの客が来たのは素直に喜ぶべきだろう。

 オレは『最後尾』と書かれた看板を持ち、列の整理を行っていた。

 当日のオレの仕事はこれだけだ。
 終わったら、後は自由。

 昼時になったら、絵理のクラスのメイド喫茶に行くんだ。誰にも邪魔はさせん。