テレビでは、今年可決された『脳死は人の死である』という法案をテーマに、コメンテーターたちがああでもない、こうでもないと議論を交わしていた。

 絵理にとって興味を引く話題だったようで、じっとテレビを見ている。

 慎重論を唱えるコメンテーターに対し、別のコメンテーターは、本人の意思表示がなくても臓器移植ができるメリットについて声高に語っていた。


 ………………。
 ぷつん。


 突如テレビ画面が暗転し、絵理がこちらを振り向いた。
 オレの手にはテレビのリモコン。